ミスチル最強のラブソング! 「君が好き」 不器用な男の恋心
こんにちは。ウサミです。
僕はMr.Childrenが好きです。
中でも、「君が好き」という歌が好きです。
真っ直ぐなタイトルですよねー
きっと僕が今後ラブソングを作ろうと思うことはないでしょうが、もし作るならここまで真っ直ぐなタイトルはなかなかつけられません。
子供のころ、僕の母親が「流行りの曲」をたくさん集めたCDを作って、それを車の中で聴いてたんです。
その中には「チキンライス」や「君に逢いたくて」なんかが入っていたのを覚えています。ほかに何があったかな?
そして、その中には「君が好き」もありました。
当時の僕はMr.Childrenをよく知らなくて、「何か独特な声のひとだなあ」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、高校生の時、Mr.Childrenに大ハマりしました。
usami-cinema-cafe.hatenablog.com
そして、「君が好き」という曲を聴いたとき、
「あ!子供の時聴いてたやつだ!」
と、なつかしさを感じたのです。
それ以来、そのノスタルジーを感じたくて何度も聴いていました。
大学に入って、ふとこの曲を聴きながら感じたんです。
「めっちゃええ歌やん。」
ビックリするほど浅い感想ですが、本当です。
そして、歌詞の意味をかみしめるたびに、凄く「うま味」が広がる名曲であることを再認識したのです。
このうま味を今回は語ろうと思います。
それにあたり、この歌詞の考察をしているサイトを観たりしたんですが、結構いろんな解釈ができるみたいです。
聴き手によって解釈が変わる、それこそがこの歌の魅力なのかも。
僕の独自解釈です。そういうのもあるんだな、なんて思いながら読んでいただければ幸いです。
1.「君が好き」とは?
「君が好き」(2002)
Mr.Childrenの22thシングル。
★収録アルバム:『IT'S A WONDERFUL WORLD』
壮大な一曲というよりは、日常の何気ない様子を切り取るようなささやかなラブソング。
シンプルかつ真っ直ぐなタイトルも魅力的で、どこか切ないサウンドと静かに歌い上げる桜井和寿のボーカルが特徴的。
まあ、うっとりするような心地の良い曲です。
しっとりした気分の時に、一人で夜、散歩なんかをしているときのお供に最適の曲。
2.歌詞は切ない?それとも・・・?
やはり、最高なのはこの歌詞です。
この曲は、「切ない曲とも、愛を歌い上げる曲とも、どちらともとれる」曲だと思っています。
このパターンはMr.Childrenに結構多いです。聴く人によって姿を変える。
言うならば、聴き手の心に寄り添う曲。
この曲ひとつで、大好きな人の顔も、失恋に泣いた夜も、片思いをかみしめた思い出も、すべての瞬間を彩っているのです。
これこそがMr.Childrenの凄さですよねえ。
僕は、この曲を「大恋愛の曲」ととらえました。
3.「君が好き」という言葉の温かみ
もしもまだ願いが一つ叶うとしたら・・・
そんな空想ひろげ 一日中ぼんやり過ごせば
月も濁る東京の夜だ
この歌詞を「君が好き」のメロディに乗せて聴いたとき、思い浮かぶのは「薄暗い東京の住宅街」。
まあ、上の画像は東京ではなさそうですけど。
そこを、とぼとぼと歩く男の姿が浮かんできませんか?
でも、とぼとぼ歩いてるのは「わざとゆっくり歩いてる」ような感じ。
何というか、考え事をしながら夜の街を歩く心地よさみたいなのを感じます。
そして、冒頭の歌詞。「まだ」というくらいですから、何かしらの願いはすでに叶っていると思うんです。
その願いとは?
それは好きな人と結ばれた、ということなんじゃないかな、と。
例えば、好きな人と結ばれて、その人とどこかで待ち合わせをしている。
その幸せをかみしめながら、ゆっくり夜の街を歩いている、なんてのを想像しました。
そんな幸せタップリな割には、切ない空気感の歌ですよね。
それもまた、この曲の醍醐味だと思うんです。
君が好き
僕が生きる上でこれ以上の意味はなくたっていい
夜の淵 アパートの脇
くたびれた自販機で二つ缶コーヒーを買って
「君が好き」。
それこそが、僕の生きる意味で、これ以上何を望むというのだろう?
君と生きるこの日々以上に、欲しいものなんてないのかも・・・なんてね
いろいろ考えた挙句、欲しいものなんてないな、とその幸せをかみしめているわけです。
そして次の歌詞。
想像してください。
ゆっくりと歩きながら帰路についていた男は、寒い日の夜だったので、アパートの脇にあるボロボロの自販機で「2つ」缶コーヒーを買った。
白い息と、手を温めるようにコーヒーを握りしめる男。
この二つ缶コーヒーを買う情景を示すことで、「自然に相手の事を考えている」情景が浮かび上がるのです。
例えばコンビニで、例えば新しい味のアイスが売っていた。おいしそうだな、と思って買ったけど、当たり前のようにそれを2つ買う。
なんとなく、一人で、ではなく、二人で、楽しみたい、味わいたい。それが当たり前になっていた時、少しだけささやかな幸せを感じるような。
そんな温かい歌詞だと、僕は解釈しています。
4.爆発しそうな思いを伝えたい・・・ けど。
僕の手が君の涙 拭えるとしたら
それは素敵だけど
君もまた 僕と似たような
誰にも踏み込まれたくない領域を隠し持っているんだろう
本当は、君の心の寂しさや、つらさ、それらをすべて僕が受け止めてあげたい。
君の心のよりどころになって、すべてをさらけ出してほしい。
やっぱり、好きな人につらいことがあったら自分に頼ってほしいし、自分の存在が好きな人の心の支えになれるなら、そんな幸せなことはないですよね。
でも、きっと君は誰だって自分の世界を持っているし、知られたくない悩みだってあるよね?ということを認め、「あえて一歩引く」奥ゆかしさを感じさせます。
本当は毎日会いたいし、あらゆることを知りたい。でも君だって一人の時間が必要だよね、と、相手を思いやるゆえにその激情を飲み込むような感覚と解釈しました。
君が好き
その響きに潜んでいる温い惰性の匂いがしても
繰り返し 繰り返し
煮え切らないメロディに添って 思いを焦がして
「君が好き」。
確かに素晴らしい言葉。できれば「この声が枯れるくらいに」言いたい。
でも、単純で真っ直ぐな言葉故に、その言葉がいつしか安くなってしまうことを恐れている。むしろその言葉から「惰性の匂い」が漂って、「好き」が偽物になることを恐れている。
だったら、どうやってこの気持ちを伝えたらいいんだろう?
繰り返し僕は「メロディを模索」しているよ。
この歌にのせて、君に贈るよ。
この、「メロディに添って」という部分は、桜井和寿のカッコよさ、桜井和寿のような歌詞に心を乗せて歌を作れる人にしか出せない「味」だと認識しています。
だって、ここが唯一全く共感できませんからね。僕は好きな人に気持ちを伝えたくて歌を作ろうなんて思ったことないです。
しかし、それができてしまう男がいます。それが桜井和寿です。
だからDarling
この”名もなき詩”を
いつまでも君に捧ぐ
これは「名もなき詩」のフレーズですが、この「微妙な気持ちを歌にのせて届けるよ」というのは、この「君が好き」と共通することなんじゃないかと思います。
歌うたいとしてのプライド、カッコよさを見せる、名フレーズです。
5.あえて切なく歌い上げる意味
歩道橋の上には
見慣れてしまった濁った月が浮かんでいて
汚れていってしまう僕らにそっと
ああ 空しく何かを訴えている
あんなにきれいな月も、濁って見えるようになってしまった。
そしてそんな濁った月を、当たり前に思うようになってしまった。
それは僕らが大人になってしまったからなのかな。
大人になってしまった僕らは、やがてその「大人たち」のように、裏の顔をもって汚れてしまうのかな。
純粋な好きという心も、やがては、その色がくすんで見えなくなってしまうのかも。
好き。その心が大きいがゆえに、それが失われるのを恐れているのです。
僕はまたしても「文学マン」になってしまいました。辞書や万年筆を武器として戦う超人ではありません。
入り込んでしまうなあ、どうしても。
好きという気持ち、それを向ける相手と真正面から向き合いたいのに、どうしても余計なことを考えてしまう。
それはその心に対して真剣であればあるほど、その疑心暗鬼は大きいんだと思います。
そのリアリティが、たまらないのです!
君が好き
僕が生きる上でこれ以上の意味は無くたっていい
夜の淵 君を待ち
行き場のない思いが また夜空に浮かんで
疑心暗鬼を払拭する手段、それは君の顔を見る事。
君を待ちながら、押しつぶれそうな心を持て余しているのです。
君が好き
君が好き
煮え切らないメロディに添って思いを焦がして
惰性なんてない。ただ君にこの大きな思いを伝えたい。
二番のサビを再度引用し、そこから「惰性」という言葉を抜いて「君が好き」を繰り返すところにうまさを感じます。
6.大人の青春ラブソング
好き!という気持ちを歌い上げる曲は数多あります。
真っ直ぐな歌詞で、それをぶつける歌。もちろんそれだって名曲です。
しかし、そういった曲は「ティーン」のものだし…なんて思ってませんか?
真っ直ぐな言葉、真っ直ぐな思い、、、
うらやましいけど、眩しすぎて見えない。
でも、こんだけ回りくどくめんどくさい大人になっても、「愛してるの言葉じゃ足りないくらいに君が好き」なことってありませんか?
この「君が好き」という歌は、そんな大人にむけた、「青春ラブソング」なのではないかと思います。